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史上初の米朝首脳会談

 人は他人と一定程度の間を空ける。人間は「非接触性動物」であり、あえて接触するには「愛情」や「信頼」などのわけがいる。人類行動学者・香原志勢さんの著書から引いた▼史上初の米朝首脳会談で両人が間を詰めて握手したのは、それ相応のわけがある。米国は完全非核化、北朝鮮は体制保証など、双方の思惑が複雑に絡み合って共同声明の署名に至った▼歴史的対面までには、紆余曲折があった。トランプ大統領が先月、唐突に会談中止を発表したが、今月になって一転した。この言動に世界が振り回された。いまの情報戦時代、朝令暮改の狡猾さは、政治家に必要な資質なのかもしれん▼会談の舞台シンガポールの島から遠く離れた房総半島の筆者には、一国のリーダーの駆け引きの妙など理解が及ばない。そこで両人の頭の中身を探りたくなる。国家運営方針は「脳のどこの知識から引き出されているのか」と▼まさか開頭するわけにはいかぬ。ならば第2の頭脳とされる書斎をのぞき見したい。財力をお持ちゆえ、多くの蔵書があってほしい。願わくば木造住宅の本の荷重限界値(1平方㍍当たり180?㌔)を超えるほどに▼それぞれ自国第一主義を形成していっただろう書物の中に、東アジアの平和に関する1冊でも見つければ、私たちとの間が「安心」で少しは縮まる。知性こそが人間の最後の砦と信じたいのだ。

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