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映画「愛しのアイリーン」

 近頃、映画もドラマも漫画原作がやたらと目につく。漫画の奇想天外の設定や無稽千万の物語は強烈なインパクトがあって、若者受けがよいのだろう▼本県から2016年の村田沙耶香さん、17年の若竹千佐子さん、18年の高橋弘希さんと3年連続で芥川賞作家が誕生した。純文学が映像化されないのは、残念至極である▼活字中毒症の筆者が繰り言を述べていると、またも漫画原作の邦画『愛しのアイリーン』(公開中)の試写状が、ひらり軽やかに届いた。それがトレンドなら詮方なしと会場へ▼昔は〈便りのないのはよい便り〉と言った。映画では音信不通の中年男が寒村に帰省する。父親の葬儀中にしかもフィリピンで〝買った〟幼妻を連れて…悪い知らせだった▼金にまつわる国際結婚の罪と罰が赤裸々に語られる。日本人の男はフィリピン人女性を見下し、金で結婚生活の難題を解決しようとする。愛は芽生えるのか。殺人の血に手を染めた新婚夫婦が初めて同衾する時、官能の喜悦がさざ波となって汗だくの体を走り抜ける▼主役の安田顕さんは劇中、性欲の権化を怪演するが、実際は大地震に襲われた北海道に軸足を置く演劇ユニット所属の苦労人。本作は『俳優 亀岡拓次』(16年)以来の単独主演作となる。さぞや東京での成功を郷里のご家族は喜んでいるだろう。そう思うと、映画の結末に反して救われる。

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リピート

 寝付けない深夜にテレビのリモコンボタンを押すと、液晶画面にドラマ『リピート』が映っていた。10人の男女が10カ月前の過去に戻り、人生をやり直す物語である▼自民党総裁選に出馬した安倍首相の代名詞アベノミクス効果により経済は好調(?)で、国民の不満は軽減しているはずだが、リピート(繰り返し)願望は万人が抱く夢。ドラマの男女は過去の記憶を頼りに、下降人生の一発逆転をもくろむが…▼原作が気になり、乾くるみ著の同名小説を読んだ。『リプレイ』(ケン・グリムウッド著)と『そして誰もいなくなった』(アガサ・クリスティー著)から想を得て、不朽の名著に挑んだという。ドラマは随分と潤色されており、私的には小説に軍配を上げた▼『リプレイ』の時間逆行は4半世紀の長期スパン。米・ニューヨークのラジオ局に勤める中年放送ジャーナリストが心臓発作で死亡し、目が覚めると、18歳の大学生に逆戻りしていた。男の欲望は金と女と権力…再演が始まる▼人生の再演は幾度か繰り返す。その度に主人公は財力でもって新たな人生とパートナーを手に入れるが、大満足というわけにはいかない▼鎌倉末・南北朝期の歌人、随筆家・吉田兼好が日本三大随筆の一つ『徒然草』に書いている。「世は定めなきこそいみじけれ」。現代語に訳せば「世は無常だからこそ素晴らしい」。至言である。

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