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映画「ラスト・ホールド!」

 映画評論家の柳下毅一郎さんはB級邦画を見続け、『皆殺し映画通信』(カンゼン)に酷評を書き連ねる。「なんでこんな映画が作られるのか!」と怒髪天を衝く▼邦画製作の流れとして、まずは客寄せ人気俳優のスケジュールありき。主役が決まっていて、脚本、監督の順番となるゆえ凡作が百出するらしい。映画は①筋(脚本)②ヌケ(映像)③役者の優先順位も、もはや過去の骨法なのだろう▼こういった〝映画考現学〟の観点から『ラスト・ホールド!』(公開中)は、現セオリーが成り立つ。アイドルグループ「A.B.C-Z」の塚田僚一さんを主役に据え、物語は2年後の東京五輪の便乗商法という安直な作り▼この大会から正式種目となるスポーツクライミングのボルダリングに、大学生役の塚田さんが挑戦する。照明効果とカメラ近撮の助けで「ミセキン」(見せる筋肉)を強調するが、芝居は笑いのツボをことごとく外して学芸会レベルだった▼実用的な競技の筋肉は背中につく。拳闘の名トレーナー、カス・ダマトが、世界ヘビー級王者となったマイク・タイソンの発達した広背筋に惚れた逸話でも知られる▼まぁアイドル映画と、大人の寛容さでホールド。しかし、まだまだマイナーなボルダリングの普及には微力ながら貢献するかも。欲の皮がつっぱらかった業界人の商魂はアスリート並みにたくましい。

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映画「ガザの美容室」

 人間のアイデンティティーは、顔にまず表れる。しかし、第2次大戦中の日本人の顔は、「人前では醜の御盾と自称しなければならなかった」という▼顔が「上官などから往復ビンタを喰らう受刑のための器官」(香原志勢著『顔の本』より)と考えられていたゆえだ。一億総玉砕-。人格を代弁する顔などにかまっていられない実に悲しい時代だった▼2007年以降のパレスチナ自治区ガザ。「天井のない監獄」と呼ばれる紛争地の女性は、いかなる顔をしているか。かの地出身の双子兄弟監督が映画『ガザの美容室』(6月23日公開)で、実話を下敷きに報じる▼男たちが戦争する外界から遮断された美容室は、女たちにとっての楽園。手持ちカメラが、この一つの舞台に集う主婦、信者、妊婦などの表情を活写する▼兄監督曰く「彼女たちは二つの顔を持っている」。戦争に立ち向かう強気と、種々の家庭事情に悩む弱気の二面である。映画は開巻約50分、突然の銃撃戦で美容室の女たちが孤立無援に…▼人間を表す「パーソン」の語源は「ペルソナ(仮面)」。女は二つの顔の上に化粧の仮面をかぶり、最も残虐な蛮行に抗う。米大使館移転を巡る抗議デモ隊とイスラエル軍との衝突で大量の死傷者が出ているガザ地区は、いまだに映画の惨状が続いている。涙する彼女たちにとって日本は大戦の荒廃から復活した夢の国らしい。

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GW後半の4連休スタート

 きょうからゴールデンウイーク後半の4連休がスタートした。五月晴れの好天に誘われて、読者の多くが県内はじめ観光地に繰り出すことだろう▼毎年この時期、少ない休みをフル活用して東京・奥多摩に愛車を走らす。桜の季節が終わり、山では一気に若葉が輝く。車の窓を開ければ、〈薫風かおる〉とはまさにこの瞬間である▼清流のせせらぎに耳を澄ませ、新緑の鮮やかさに目を潤わす。青梅街道沿いの老舗でそばを手繰って、日ごろの深酒で荒れた胃腸も癒やすのだ▼奥多摩湖に沿う国道411号は、山梨へと続く。つづら折りに忙しくハンドルを切り、決まって夕方にたどり着く。目的地は笛吹川フルーツ公園を抜けて行く山頂の露天風呂。甲府盆地の街明かりを眼下に、対面に富士の山容を望む。山の端に赤く燃える夕日がかかり、この時ばかりは仕事の憂さを忘れる▼若者の車離れが著しいと聞く。日本自動車工業会の昨年度の市場調査で、10~20代の社会人の過半数が「車を買いたくない」と回答した。企業決算の好調とは裏腹に可処分所得が伸び悩む中、節約志向が根強い▼しかし、車がお金を浪費するだけの移動手段と考えるのはいかがなものか。愛車の運転には喜びがある。規定路線を外れ、意のままに進路を取るのは若さの特権だ。 ♪DRIVEに連れてって♪ 今井美樹さんの名曲に表れる女心をくみ取ってほしい。

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