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映画「デッドエンドの思い出」

 筆名は、作家の印象を決定づける。名探偵・明智小五郎を生んだ江戸川乱歩が、エドガー・アラン・ポーをもじって筆名としたのは有名だ。名を目にした瞬間、背筋に得体の知れぬものが這うような怪奇傑作を期待させる▼ノーベル文学賞候補に何度も名が挙がる村上春樹はどうか。デビュー当初、人気作家の「村上」龍と出版界の重鎮・角川「春樹」を合わせたようだと揶揄されたが、実は本名である。ただ、記憶に残る点で損はない▼では筆名に果物を入れたら? 吉本ばなな-。戦後を代表する論客の隆明を父に持つ女性作家は、なかなか大胆。風変わりな印象で、ばななワールドに読者を引きずり込む▼「自分の作品の中でいちばん好き」という『デッドエンドの思い出』(2月16日公開)が映画化された。潤色された本作は、アラサーの韓国女性が婚約解消から再出発する物語となり、おセンチなバナナフレーバーが馥郁と香る▼傷心の女性を癒やすのが、名古屋の古い喫茶店。そこには魅惑的な店主がいて、お節介な客もいて、女性の冷えた心を温める▼うむ、待てよ。鋸南町で撮影の『ふしぎな岬の物語』(吉永小百合主演)など近頃、この手の映画が散見される。現実逃避の空間として適すのだろうが、セルフサービスカフェの隆盛で、昔ながらの喫茶店(美ぼう店主)はもはやファンタジーの世界だけかも。

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