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映画「判決、ふたつの希望」

 人それぞれに固有の視点を持っている。そして己の双眸で視認してきた事物こそが、絶対的な正義と信じている▼相いれぬ価値観が真っ向からぶつかる時、厄介ごとが起きる。口論から小競り合い、しまいには戦争に至る最悪の事態が、有史以来繰り返されてきた。解剖学者・養老孟司さんは、その滑稽を本『バカの壁』(新潮新書)のタイトルにした▼映画『判決、ふたつの希望』(31日公開)は、キリスト教徒のレバノン人とイスラム教徒のパレスチナ難民のささいな口論が、やがて国家を揺るがす法廷闘争に。レバノン史上初めて米アカデミー外国語映画賞の候補となった秀作である▼ドキュメンタリータッチの映画は、監督の視点が重要。極端な右傾化や左傾化は、事実の歪曲が芬々と臭う。カメラが主役の2人に寄ってレバノン内戦が生んだ遺恨を暴き、引いた首都のビル群乱立の画面で、紛争の非生産性を説く。地元出身監督の視点は、常に公平中立だ▼米朝首脳会談(6月)で、両トップが固く握手したテレビ映像をどうご覧になったか。正義はどちらだ。核兵器、拉致など問題に関わる人の視点によって、評価は分かれる▼しょせん、この世の中はあやふやで曖昧なことばかり。ジコチューの正義や大義をやたら振りかざしていては、愛する母国に希望が生まれない。映画の判決はバランスに優れた名裁きだった。

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