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映画「ガザの美容室」

 人間のアイデンティティーは、顔にまず表れる。しかし、第2次大戦中の日本人の顔は、「人前では醜の御盾と自称しなければならなかった」という▼顔が「上官などから往復ビンタを喰らう受刑のための器官」(香原志勢著『顔の本』より)と考えられていたゆえだ。一億総玉砕-。人格を代弁する顔などにかまっていられない実に悲しい時代だった▼2007年以降のパレスチナ自治区ガザ。「天井のない監獄」と呼ばれる紛争地の女性は、いかなる顔をしているか。かの地出身の双子兄弟監督が映画『ガザの美容室』(6月23日公開)で、実話を下敷きに報じる▼男たちが戦争する外界から遮断された美容室は、女たちにとっての楽園。手持ちカメラが、この一つの舞台に集う主婦、信者、妊婦などの表情を活写する▼兄監督曰く「彼女たちは二つの顔を持っている」。戦争に立ち向かう強気と、種々の家庭事情に悩む弱気の二面である。映画は開巻約50分、突然の銃撃戦で美容室の女たちが孤立無援に…▼人間を表す「パーソン」の語源は「ペルソナ(仮面)」。女は二つの顔の上に化粧の仮面をかぶり、最も残虐な蛮行に抗う。米大使館移転を巡る抗議デモ隊とイスラエル軍との衝突で大量の死傷者が出ているガザ地区は、いまだに映画の惨状が続いている。涙する彼女たちにとって日本は大戦の荒廃から復活した夢の国らしい。

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