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KOダイナマイト引退

 希代のボクサーグローブを吊した。日本歴代3位の11連続防衛で6年4カ月もの間、世界王座に君臨。輝かしい功績と共に、「KOダイナマイト」と呼ばれた一打必倒の闘いが記憶に残る▼前WBAスーパーフェザー級王者・内山高志(37)が引退を表明。この日を覚悟はしていたが、拓殖大の後輩で内山の背を追って世界3階級制覇を果たした八重樫東(34)が現役続行を決めたゆえ、一縷の望みを勝手に抱いた。内山ロス…寂しい▼正統派の華麗なボクサーだった。世間一般の野蛮なイメージは誤解で、両拳のみを武器とするボクシングは、瞬時の決断を繰り返す知能が勝敗を分ける。〈打たせずに打つ〉理想を具現化。試合後のきれいな顔がその証左だった▼アマ戦歴を紐解くと、エリートではない。花咲徳栄高時代は50戦して13も負けがつく凡な選手。だが、いかなる逆境にも、心は折れなかった。「真面目にやっていれば、チャンスは絶対にある」(著書より)。努力の人だ▼高校の部訓「恐れず・驕らず・侮らず」を座右の銘とする人格者でもある。「ボクサーも一社会人、その自覚がなければ少なくとも世界チャンピオンになる資格はない」。観光バス会社での営業経験が生きる▼薬物、賭博など醜聞が絶えないスポーツ界で、美事な引き際。人生第2幕のリングは「猫カフェ」? KOパンチ級の〝笑劇〟だ。

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