So-net無料ブログ作成
検索選択

静岡おでん

 外からのぞき、カウンター一本だけの店というのは「一見さんお断り」の雰囲気を醸していて、のれんをくぐるのに少し勇気がいる。常連さんが談笑していれば、なおのこと▼静岡市の『青葉横丁』は、小体なおでん屋が天蓋付きの暗い路地の両側に並んでいる。そこはまさに通人の飲み屋街だった▼日が西に傾きかけた頃、渇いた喉が生ビールを欲して、濃密な時を堆積した小路に足を踏み入れた。『おばちゃん』(店名)の前を通りかかると、絶妙の間で「はい、どうぞ」の呼び込み。おっとりとした口跡が、筆者を店に招じ入れた▼カウンター内に声の主の小柄な老大将。十数年前に鬼籍に入った細君の祖父とうり二つの姿には、瞠目した。周りを明るくする太陽のような存在。酒の肴の静岡おでん盛りを「魚粉をたっぷり掛けるのが、ここでの流儀」の解説付きで供してくれた▼夏目漱石や永井荷風など明治~昭和期の作家はよく街を歩いた。『居酒屋の作家』(山本容朗著)で「街歩きは、彼らの文学作品と直結している」と説いており、物書きの端くれとして見習っている▼さて酒杯を重ねて、お勧めの生しらすを頼めば、両隣から「オレも」「オレも」の輪唱。店内に笑い声が満ちる。ふと、目にした箸袋の〝お味くじ〟に「人間は弱い。でも決意した時に強くなれる」とあった。あすからの仕事へ勇気をもらった。

nice!(0) 
共通テーマ:blog

映画「ジョン・ウィック2」

 ハードボイルドとは? 作家が問いに答える。「都市の犯罪小説」(生島治郎)、「抑制された多情」(五木寛之)、「傍観者文学」(北上次郎)。その定義は各人各様である。原尞のエッセーから引いた▼筆者が思うハードボイルド小説の主人公は、哀愁とバーボンたばこの匂いが長身痩躯に染みついた寡黙な男。たまに開く口が、痛烈な皮肉屋なことも欠かせない▼出会った瞬間に、男の過去を詮索したくなる。が、人生を諦めたような冷たい瞳の奥は、決して誰にものぞかせない。実にクールな性格なのだ▼シリーズ化した米映画『ジョン・ウィック2』(公開中)は、クールでスタイリッシュな殺し屋の報復劇。第2弾は、亡妻との思い出たっぷりの自宅を擲弾発射器で破壊したマフィアを血祭りにあげる▼サスペンス活劇『スピード』(1994年)で盛名を得たキアヌ・リーブスも52歳。『マトリックス』(99年)の後、不摂生から激太り。久方ぶりに体を彫刻してハリウッド映画に復帰した▼ハードボイルドの定義を文頭に連ねたが、主人公の重要な条件が抜けていた。所期の目的を完遂する強靱な意志である。「一強」のおごりから東京都議選で自民党が惨敗し、支持率急落の安倍内閣-。暴言、失言、金銭疑惑など次から次へとよくも出る。内閣改造に向け、ハードボイルドなタフ・ガイはなかなか見つからない。

nice!(0) 
共通テーマ:blog