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読書感想文

 「読んでから見るか 見てから読むか」。1970年代、角川書店が小説映画の一挙両ヒットを狙い生み出した名コピーである。『犬神家の一族』(横溝正史著)や『人間の証明』(森村誠一著)が一大ブームを起こした▼実話ベースの『海賊とよばれた男』(百田尚樹著、講談社文庫)に関して、筆者は後者の手順を踏んだ。つまり邦画を見てから、原作を読んだのである▼映画が多少、戯画的に描かれていたのに対し、小説はヒーローイズムが横溢する。戦後復興の動力源となった石油。欧米の石油メジャーを相手に、民族会社(出光興産)の店主が退路を断って戦う勇姿に胸が熱くなる▼読書は豊かな想像力を養うというのに、全国大学生活協同組合連合会の調査で、1日の読書時間が「0分」の大学生が約半数という。活字離れも、いよいよここまで深刻となったか▼そこで、『海賊-』を観賞済みという校閲部のアルバイト女子大生に原作本を貸した。彼女が近頃、高らかに読書宣言し、「でも何を読んだら…」と愚問を口にしたゆえだ▼一人の店員も馘首せずに一代で巨大産業を成した小説の店主は「人間尊重の信念を貫きとおした五十年であった」と経営方針を述懐する。労働者を使い捨てにするブラック企業がいまだ存在する経済大国で、来年に就活を控えた女子大生は何を思う? 読書感想文が楽しみである。

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