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映画「赤毛のアン」

 人生も半世紀を過ぎると、懐旧趣味が首をもたげてくる。少年時代に好んだ本や食べ物がやたらと恋しい。つい金に飽かして大人買いしてしまう。企業にとっては、上得意様である▼テレビ番組もその一つ。日曜日の夕食は、世界名作アニメとともにあった『トム・ソーヤーの冒険』など、主人公のほとばしる生命力と異国の空気感が新鮮だった。雑学として、映画評論家・双葉十三郎(音読みでソーヨー・トーミ)はトム・ソーヤーをもじった筆名だ▼『赤毛のアン』も印象に残った。感受性豊かなアンが巻き起こす日常の騒動が愉快だった。モンゴメリの名著がまたも実写映画(6日公開)となった▼『赤毛のアン』といえば、翻訳家・村岡花子(1893~1968年)。花子は第2次大戦下、憲兵や特高の目を盗んでひそかに敵性語を訳し続けた。「果たして、この小説を本にする日は来るのか」。厳しい言論統制下で、花子の心中には不安しかなかった▼カナダ人女性宣教師から友情の証しとして贈られた小説『アン・オブ・グリン・ゲイブルズ(緑の切妻屋根のアン)』の翻訳本が刊行されたのは1952年。終戦から実に7年もの歳月がたっていた▼花子が海外文学を通じて訴えたかったのは動乱の昭和において、反戦と平和だろうか。日本国憲法が施行されてから70年。わが国の最高法規はその主義を貫いてきた。

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