So-net無料ブログ作成

映画「シェイプ・オブ・ウォーター」

 少年にとって怪物図鑑は宝物だろう。いつの間にか散逸してしまう稀覯本だが、サブカル資料として買い戻した。その1冊が『怪奇大全科』(秋田書店)。ページを繰れば昭和の香りが立ちこめ、モンスターに恐怖した昔を懐かしむ▼中でも半魚人は特異な存在で、皮膚の粘液質が気色悪い。筆者が生まれるひと昔前、『大アマゾンの半魚人』(1954年)が作られた▼新発明したのは怪物映画が得意なユニバーサル社。虎の巻『ぼくの採点表Ⅰ』(トパーズプレス)に寸評が載っている。水中撮影に3Dカメラを持ち込んだそう。進んでいる▼60年余を経て、オタク文化の継承者、ギレルモ・デル・トロ監督が趣味的ビジュアルを全開。オスカー4冠映画『シェイプ・オブ・ウォーター』(公開中)で、古典の怪物を再生した▼米ソ冷戦時代、宇宙開発で先んじたい米は半魚人を実験材料とする。監督は本作の舞台を借りて「自国第一」のトランプ政権を嘲笑し、その愚行と醜い半魚人の美女への純愛を対比。動物園の檻中の鏡の話のごとく、銀幕に映った利己主義者が「この世で最も危険な動物」だろう▼人間は科学の進歩を止められないが、その粋を集めた原子力発電所は安全か。東日本大震災の放射能漏れ事故は、裁判で人災を問われる。この狭い国土で原子力の〝平和利用〟は続き、合掌の日は7年を迎えた。

nice!(0) 
共通テーマ:blog

nice! 0