So-net無料ブログ作成
検索選択

映画「ミス・シェパードをお手本に」

 かつて新聞社は、奇人変人の宝庫だった。身なりに気を使わない分、趣味求道のため惜しみなく大枚をはたいた。郷土文学の高尚からギャンブルの通俗まで、ジャンルは多岐にわたった▼はた目には単なる浪費も、個々の専門分野の話を聞くと、知識と人脈の幅は果てしなく広がった。こうした雑学の権威たちが、新聞社の財産だったのである。懐かしい▼英映画『ミス・シェパードをお手本に』(公開中)は、気位の高い老淑女が主人公。路上駐車のおんぼろワゴンを住みかとし、日本風に言えば、ご近所迷惑な〝ごみ屋敷〟の住人だ。官憲に路駐をにらまれていたところ、物好きな劇作家が自宅駐車場を提供。友情が芽生えていく▼舞台は1970~80年代のロンドン北西部の街。文化人が多く暮らし、路駐ワゴンに眉をひそめながらも、なにやかやと老淑女の面倒をみる。寛容な時代だった▼ネットのSNS隆盛の今節、とかく他人の目を気にしすぎる。反して老淑女は住民の施しに悪態をつき、唯我独尊を貫く。むろん偏屈になった理由があり、流暢な仏語を話し、繊細なピアノをひく。まさしく〈能ある鷹は爪を隠す〉▼利益のみを優先する社会は浅ましい。トランプ次期米大統領の言動一つで金融市場が動揺。まるで不出来なドタバタ喜劇を見ているよう。世間への老淑女の慧眼が、物事の本質を見抜く手本となる。

nice!(0) 
共通テーマ:blog

nice! 0