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映画「オーバー・フェンス」

 「Boy meets girl」。少年と少女の出会いで、甘酸っぱい恋物語の幕が開く。映画の定石である▼ところが、未婚率が上昇する今は、男女の出会い自体がリアリティーを欠く。県内では市川市など地方自治体が婚活の場を設けるほど邂逅は奇跡なのである▼閑話休題-。邦画『オーバー・フェンス』(公開中)の主人公(オダギリジョー)は、最北の地で無為な日々を過ごしている。結婚、仕事にしくじり、失業保険で糊口をしのぐ。全身に倦怠感をまとった男がキャバクラ嬢(蒼井優)と出会う…▼時代を映す鏡である映画は、昨今の恋愛事情を忠実に反射する。男は前妻と子どもとの戸籍上の縁が切れず、女はそのビミョーな続柄に嫉妬し突然、狂気を爆発させる。鏡面の人物像は、凹凸が効いてゆがんでいる▼不寛容の時代という。社会の落後者を許さない。しかし、蒼井はパンフ用のインタビューで「ダメな人間を肯定できなければ映画じゃない」と答え、その意味で本作は落後者を救う寛容さを持ち合わせている▼自民党が1980年代に打ち出した「日本型福祉社会論」は、家長の男性サラリーマンと専業主婦のカップリングを基礎としたが、今やその家族像は成立しない。かつてのフツーの人生を送ることが難しい。それゆえ、ゆがんだ男女関係を精神的な快打で解消する本作の絞りが、余韻を残す。

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